Dr.KENの「こだわりのトラ」

トラを愛し続けて、はや20数年。
俺にトラを語らせろと故郷山形から大阪へ!
こだわりのタイガースネタにお付き合い下さい!
                      題字:ワシ
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2009.09.24 Thursday

日暮〜大いなる事件〜
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「あなた、どれになさいますか?」

休日であることを言い訳にまだ日が高い時間から一献遣り、
裏庭に面した縁側で釣竿の手入れに興じていた私に、妻が声を掛けてきた。
聞けば昨夜、こちら方の実家の山形から数種の魚の一夜干しが送られてきており、
自堕落に休日を啄ばむ私に妻は、その内の1枚を肴に焼いてくれようと言うらしい。
殊勲なことだ。有難きは優しき実母、有難きは優しき妻かな。

「秋刀魚か鯵か、はたまた子鯛か。悩むところだ・・・」

即座にその出来過ぎた妻の好意に有難く甘えることにした私ではあったが、
普段より優柔不断な性格であるが故、肝心の肴をどれにするのか、これが決まらない。

「あなた。あなた、どうなさいます?」

返事の無い私に、妻が厨房より顔を覗かせ再び声を掛けてきた。
肴が決まらない様子で首を捻る私を見とめると、
見慣れた光景にやれやれといった様子で「あなた、またですか」と言って笑った。

「すまない、一時待ってくれ。もう決まりそうなんだ」

秋刀魚か子鯛、この大問題に対していよいよ最後の選択までたどり着いた私。
気が付くと傍らに一人娘の虎転(こころ)がちょこんと座っていた。
その手には床に置いてあったビール瓶が握られている。

「おと様、おビールいかが?」

重そうにビール瓶を抱えた虎転は、にっこりと笑いながらそう言った。
すくすくと日々成長を続ける虎転の思い掛けない言葉に私は一瞬耳を疑った。
おいおい、そんな事までわかるようになっていたのか・・・。

「おいお前、虎転がお酌してくれるそうだよ」

興奮を隠そうともせず妻にそう告げるとグラスの底にわずかに残ったビールを煽り、
私は虎転に向かい震える手で空になったグラスを差し向けた。

「あらあら虎転、今日は大サービスね」

ころころと笑いながら妻もまた虎転の成長に目を細めていた。

「よし!秋刀魚を焼いてくれ」

意を決した私は熟考の末にたどり着いた答えを妻に勢いよく告げると、
グラスに注がれた黄金色の液体に勿体無さげに口を付けた。
美味い。こんなに美味いビールが、この世にあったとはついぞ知らなかった・・・。
父親としての至福をまた1つ知った私の胸に万感の想いが去来する。

「うん。明日もきっとよい日になる」

小さな声でそう呟くと私は虎転を膝に乗せ、再び釣竿を手に取り秋刀魚を待った。



これが昨日の我が家に起こった大問題と大事件である。
東の方で何が起こっていたか?そんな事は我が家にはとんと関係が無い事で・・・。







「あ、そういえばあなた」

秋刀魚の焼ける香ばしい匂いを漂わせながら思い出したように妻が言った。

「お隣の息子さん。そう、秀太さん」
「お勤め辞められて今度知り合いのもつ鍋屋さんのお手伝いするんですってよ」

〜 日暮 完 〜
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