Dr.KENの「こだわりのトラ」

トラを愛し続けて、はや20数年。
俺にトラを語らせろと故郷山形から大阪へ!
こだわりのタイガースネタにお付き合い下さい!
                      題字:ワシ
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2009.11.08 Sunday

日暮〜ドッコ沼の怪魚〜
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暮秋を思わせる灰白く澱んだような低い空。
私は沼の畔に腰を下ろしていた。

ドッコ沼。


自宅の裏手の小道を半時間ほど歩いた場所にその小さな沼はある。
それはふとした思い付きであった。

日頃からの不摂生がたたり、日に日に体重が増加傾向にあるという自覚はあった。
いや、それは増加などという生易しいものではないのかも知れない。
昨晩、数年振りに恐る恐る乗った脱衣所の体重計の針の数字は167を指した。

・・・・・167キロ!?

驚いた。力士を生業にしているわけでもない単なる中年の体重ではない。
スピードガン体重計が壊れているんじゃないか?」と思い二度ほど乗り直してみた。
「これは身長の間違いではないか?」という逃げ水も一瞬頭を掠めた。

しかしながら現実としてそこに指し示された数字は変わらなかった。

そして今、沼の畔に佇む私へと時間は連続する。
外に出よう。運動をしよう、と。我ながら短絡的過ぎる結論には苦笑せざるを得ない。



果たして釣りが運動か?という疑問はとりあえず置いておくとしよう。
私自身がそう思ったのだから仕方がない。

ガレージの奥から引っ張り出した埃まみれの竹竿を構えたところで気が付いた。
しまった。餌の用意を失念していた。一旦自宅へ戻り芋でも潰して持とうか、
それとも湿気を含んだ傍らの腐葉土を掘り返して蚯蚓でも探そうか・・・。

まあよい。今日は釣りをしようと思い立ったのだ。
獲物を持ち帰ることはその先のことであり、今日の目的ではない。
私は徐に竿をしならせた。その先の針は餌などない空手であったがよしとしよう。


何も釣れるはずのない竿を持ちただただ糸を垂らす。
何もない一日、こんな休日もたまにはよい。


そのまま数時間が過ぎ、ひたひたと暗闇が忍び寄る時間が近寄ってきた。
薄暗い空に僅かに緋色が差し、僅かではあるが風も出てきたようだ。

それに見合う等価も払っていないくせに「少しは体重が減ったかな?」などという
愚にも付かない独り言を呟きつつ水面から竿を引き上げにかかった。



・・・・・違和感があった。竿が上がらない。

やおら針が根にでもかかったかと思い小さく舌打ちをした瞬間、
指先に僅かな、しかしながらその先に確実にあるモノを報せる信号が登ってきた。

―――食い付いたのか?餌のない針に・・・・・―――

予想外の出来事に少し顔を綻ばせつつも不可解な怪訝を抱きつつ、竿を引く。
今度は確実な――魚がいる!――手応え、私は竿を引く手に力を込めた。


それを引き上げる作業は多くの労力を必要とはしなかった。
小さくはない体躯を思わせる手応えとそれが佩き出す確実な生命反応はあったが、
なにせ抗いがまったくない。そして程なくそれが水面へ姿を見せた。



それは奇妙な魚であった。私の知る種別の何れにも当て嵌まらない。

ぬらぬらとした鰻のような、いや見ようによっては作りの悪い犬のようにも見える
のっぺりとした薄気味の悪い異形の顔。いや、これは魚と呼べるのか?



子供の頃に聞いた、もう十数年も前に他界した祖父の言葉をふいに思い出した。
「ドッコ沼にはヌシがおる。それを見たものには災いが降り懸かる・・・」

まさか、これが――そんな話を信じてなどいなかったが――そのヌシ?



ぷちっ


その瞬間腐った肉が裂け脂が弾け飛ぶような嫌な音が響き、
針が食い込んでいたヌシの唇が切れてしまった。
もうすぐに手が届きそうなところまで引き上げていたヌシが踵を返す。


ちゃぷん。・・・コーです。・・・イコーです。


最後に見えたヌシの顔は、にたりと笑ったような顔に見えた。
そう「また会おう」とでも言いたげな。




手ぶらで家に帰ると夕食の支度を始めていた妻にそのヌシの話をしてみた。

「それは残念でしたね」とまったく残念な素振りも見せず妻はころころと笑った。
どだい信じろと言う方が無理な話だ。そして妻はこう続けた。

でも鰻でしたっけ?犬でしたっけ?その不細工なヌシさん。
そういえばさっき、何の番組だったかしら?
テレビにもそんな変な顔の人が変な顔をクシャクシャにして映ってましたよ。
虎転がドラえもん見るからって言ってすぐ消しちゃいましたけど。

そうそうそれと。

脱衣所に置いてある体重計、なんか調子が悪かったので捨てちゃいましたよ。
私が乗って67キロとか失礼しちゃうわ。
どうやら30キロくらい狂っちゃってもう直せないみたいだったから。



そうか、やっぱり壊れていたのか。167−30=・・・。

まあそれでもダイエットが急務なことにはなんら変わりはないか。
私は苦笑いすると、隣で熱心にドラえもんに興じる虎転の髪を二度撫でた。

そして何もない、本当に何もない11月7日の夜は更けていった。



〜 日暮 完 〜

というかワシ、何書いてんだ?
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Writer : Dr.KEN | いろいろ | comments(0) | - |






 

 

 

 

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